ゆえ編 第2話

 眠りこけて小便をまき散らした夕映をそのまま服を着せ、ベッドに寝かせるのはあまりにも癪だった。
 なので、一つ、仕返しをしてやろうかと思う。

 尿を吸いまくっている下着と靴下を脱がし、適当に魔法で洗浄、乾燥をする。
 そのまま再び履かせる前に、ちょっとしたことをした。

「くっくっく……覚悟しろよ」

 取り出したるは素敵な軟膏。
 禁制の品『惚れ薬』の成分を抽出し、その他諸々と混ぜ合わせ、熟成させた遅効性の媚薬だ。
 それを人差し指の上にたっぷり載せると、夕映に塗り込むことにした。
 とはいえ、ちゃんとした部位に塗るようなぬるい真似はしない。

 のどかですらうっすらと生えていた毛は、夕映には全く見あたらなかった。
 見かけ通りの幼い秘部に、そっと軟膏がべったりついた指を伸ばす。

「……んっ……」

 夕映はわずかな空気の流れにも敏感に反応し、眉を顰めて熱い吐息をはき出した。
 睡眠作用のある魔法薬をガブ飲みしたので早々起きるようなことはないだろう。
 あったとしても、それはそれで楽しいことになるに違いない。

 ぴったりと閉じた幼い秘裂のちょっと上にある、包皮にくるまれた肉の芽がターゲットだ。
 軟膏を迂闊にくっつけないように、反対の手で、包皮に指をかける。
 夕映のあそこは体と同じく、小さく掴みづらいため、多少手間取ったものの、
 なんとか、夕映の中で見られたくない部位のトップ3に輝いているであろう箇所をむき出しにすることができた。

「……ぁっ……んっ……」

 と、同時に、秘裂の方からどろりとした液体があふれ出てきた。
 なんにもないように見えるものの、夕映は媚薬をがぶ飲みしている。
 意識のない今の状況でも、体は感覚に支配されているはず。

 そのまま、軟膏のべったりついた指を穴につっこんでやろうか、という衝動をぐっと抑え、
 当初の予定通り、肉芽に軟膏を軽く塗り込んでいく。

「……あっ……かっ……はぁぁッ!」

 体がびくんびくんと震えているものの、前もって四肢に麻痺の魔法をかけているため、
 大きくぶれて指が離れるということはない。
 なんとか必死に腰を動かして逃げようとする夕映に、さっきの仕返しだとばかりにうりうりと攻めていく。

「ふぁっ……んっっ……あぁぁぅッん!」

 最初は控えめで消え入りそうな声だったが、段々と大きく、且つ妖艶な感じになってきた。
 字面だけ見ればアホっぽいが、幼い体つきの夕映がこういう声を上げていると考えると、なんだか少し興奮する。

 あー、のどかには三十分したら来るように言うべきだった。
 のどかが来るまであと半日弱、夕映の処女喪失は親友であるのどかの手によって奪われるというシナリオを描いているため、
 それまで俺自身の下半身の滾りは溜まる一方だ。

 だからといって、夕映が目の前にいるというのに自家発電をして発散させるのはアホらしいし、
 昏睡状態の夕映に、我が分身を擦り付けて、解消するというのは後々のカタルシスが減退する要因になりうる。
 結局、エドのいにっきを使って、自分自身に暗示を埋め込み、性欲を下げるわけだが、
 正直なところオナニーするより味気ない。

「ん……ふぅ……」

 指を離すと、夕映は息を落ち着かせた。
 表情を見ると、物足りなさというか、そういった類のものが浮かんでいる。

 なんかそれを見ていると無性に腹が立った。
 本質が『恥辱』で、こんな目に遭っているというのに、
 はずかしがるどころか物欲しそうな表情を浮かべている夕映と、
 もっと欲望に忠実に生きよう、と思っている俺が我慢をしなきゃならない状況が、なんかとてつもなくむかついた。

 もう既に軟膏は十分過ぎるほど塗り終わって、次に取りかかろうとする前に、
 ちょっとした意趣返しをすることにした。

「ん……ひぃっ!」

 夕映の体が未だかつて無いくらい震え、大きく跳ねた。
 秘裂からは大量の愛液が吹き出て、危うく俺の服の裾にかかるところだった。

 今まで優しく撫でるようにしか触っていなかった肉の芽を、突然きゅっとつまんでやったのだ。
 ちょうど媚薬を塗り込まれた後に、この強い刺激をうけたのはこたえたのか、
 いとも容易く絶頂を迎えた。
 やや苦しそうな表情を浮かべる夕映を見ていると、ほんの少しだけ胸がすっとした気分になった。

 落ち着いた後に、夕映の包皮の上に指を置き、それを色々なモノにひっかかりながらなんとかずり下げた。
 まだまだ大きくなったままのクリトリスを包むのは苦労したが、剥き出しにするのはなんかつまらなかったのだ。
 包皮の下でもまだツンと大きくなったままで、凄く膨らんでいるが、今度は指一本触れてやらない。

 さてさて、まだまだ指に付けた軟膏の大部分は残っている。
 お楽しみはこれからだ。

 夕映の体をそっと持ち上げる。
 麻痺の魔法がかけられているせいで、まるで人形のように手足がぶらぶらするのを支えながら、
 ソファーの肘掛けのところにうつむせの状態で横たえる。

 ちょうどお尻が突き出すような格好になり、あられもないところがつまびらやかになった。
 ぴったりと閉じているのに、ひくひくと痙攣をする秘裂から、たらーっと愛液が垂れ、
 太ももに伝って落ちていくところが見えて、なんだか下半身がむずむずする。

 お尻の肉に、手形や歯形を残したいのをぐっとこらえて、左右の肉をそっと分けた。
 目標は、まだそれほど黒ずんでいない、アニャルだ。
 外側の皺の一本一本に丹念に塗り込んでいく。

「んんっ!」

 もちろん、外が終わったら中までじっくりと。
 括約筋のリングが、指を差し入れることによって拡がり、なんか皺とか色々と伸びている。
 指を中で動かして、軟膏を塗りつけていくごとに、夕映は煩悶とした声を上げる。

 意識のない相手をこうやっていじるのは、そういえばありそうで今までやってなかったことだった。
 今まではなんだかんだいって、ちゃんと起きている人間を相手にしていた。
 まあ、意識のない相手をやっても反応が見られないからという理由で避けていたんだが、
 実際にやってみると中々楽しいかもしれない。

「ここを、くいくいっとな」

 相手が起きていたら、こんな台詞は恥ずかしくて吐けたもんじゃない。
 ただ、口に出してみると、これが妙に面白かったりする。

 「うりうり、ここがええのんか?」とか言おうかと思ったが、流石にアホっぽくて止めた。

 腸内を一通りぐりぐりした後、生暖かい感触が名残惜しいものの、指を引き抜いた。
 指が抜けるとき、ちゅぽんという音がした。



 その後、服をきちんと着せ、整えた後、夕映を抱えて寝室のベッドの上に運び込む。
 不自然になるところは極力消して、エドのいにっきを取り出し、多少の記憶操作を行い、
 同時に覚醒を促した。

 あれだけ色んなことをしても目を覚まさなかった夕映が、十秒も経たないうちにむずむずと鼻を動かし、
 手が動いて、目を擦り始めた。

「ん……あ、あれ?」
「よかった。起きたんだね。無事で良かった。
 気分はどう? 気持ち悪かったりしない? 異常なほど体がだるかったりとかは? 頭痛はする?」
「え、あ、えっと……」
「ああ、ごめんごめん、いっぺんに聞きすぎたね。配慮が足らなかった。
 大丈夫、起きる必要はないよ。そのまま寝てていいから……」

 起き鼻のあまり頭がはっきりしていないときを狙って質問を浴びせかけ、
 違和感をなるべく受けないような配慮をした。

「ごめん、僕の配慮が足らなくて、何度も何度も練習させたせいで、
 魔力が枯渇状態になって、気絶しちゃったんだ。
 今はもう魔力補填をしたから大丈夫だけど、何か体に違和感があったりする?」

 心の中でにやりと笑いながら聞く。
 今や媚薬が効いてきて、塗布された部位が熱くなっているころだろう。

 クリトリスとアナルが熱いというのは明らかな異常だが、
 夕映ほどの年頃の女の子には答えることなんてきっとできやしない。
 ただただ理由のわからない煩悶とした刺激に恥ずかしいと感じ、戸惑うことしか出来ないだろう。



「どうかな? 気持ち悪いとか、頭が痛いとか、そういうことはない?
 大したことないことでも念のためちゃんと『みて』おかないと」
「あ、いえ……その、と、特には、ない……です」

 あからさまに目が泳いでいる。
 『みて』ということを殊更に強調して言ったわけじゃないが、
 夕映にとっては重大なことのはずだ。
 万が一、夕映が口に出して身体の異常を訴えようと思っても、
 ただこの一言で喉まで出かかった言葉を呑み込んだだろう。

 案の定、夕映は口ごもり、言わなかった。
 目を決して合わせようとせず、顔をやや俯けて赤くなっている。
 膝の上あたりで、そわそわと手をいじっている。
 俺の目がなければ、今すぐにでも媚薬を塗られた部位を触りたいだろうに、我慢している。

 ああ、クリトリスとアナルに感じる感覚を隠そうとしている夕映が、
 実は俺のてのひらで踊っているだけだったということを知ったとき、どんな表情を浮かべるのか、
 考えただけでもゾクゾクする。

 のどかもそうだったが、夕映は更にいじめてオーラを放射していた。
 体が小さく、ともすれば実際の年齢よりももっと幼く見える外見をしておきながら、
 世間知らずの頭でっかち……負けん気が強い割に、本人にそれほどの能力がない。

 まあ、この年頃の子では珍しくない。
 中途半端に世の中を知っているせいで、根拠のない自信に溢れている。

 のどかは純に世界の善を信じ、俺との接触は魔法というファンタジーの世界の一歩として認識していなかった。
 俺が害意を持っていることを考えすらもしていなかった。

 それに対し、夕映は、悪意というものを知っていながら、
 私ならやりすごせるはず、と高をくくっていた。
 俺が悪意を持っているかもしれない、という可能性の認識ができていたにも関わらず、
 その可能性を過小評価し、目を閉ざしていた。

 そんな子なのだ、夕映は。
 そんな子をいじめずに、誰をいじめるというのか。

 薄氷のような薄くて脆い虚栄心を砕くのは、例えに出した薄氷を踏みしめて割るぐらい楽しい。



「でも、まあ、何はともあれ。君は魔力の流れというもののコントロールが出来るようになった。
 ここからは簡単な魔法は一通り、理論さえ理解できれば出来るようになるし、
 より高度な魔法を習得する足がかりを作ったわけだ」
「……え?」
「ほら、今はもう大丈夫だから、呪文を唱えてみて」

 そういって、俺は夕映に杖を渡した。
 なんだか不思議そうな表情を浮かべていたものの、俺の示した意図を察したのか、
 杖を受け取ると、恐る恐る宙に掲げ、何度も何度も唱えたあの魔法を唱えた。

「ぷ、プラクテ・ビギ・ナル アールデスカット!」

 完全に魔力の流れをコントロールして、杖の先から小さいけれど確かに炎が出現した。
 夕映は杖の先に現れた炎を、目を丸くして見て、次の瞬間、うっ、とうめいた。

 俺は夕映の変化に気づいていないふりをして、声をかける。

「どう?」

 にっこりとした笑みを絶やさず、ただただ魔法が成功したことを喜んでいる素振りを見せたまま。

「……あ、え……う、うれしいです」

 夕映は言葉に反して、どこかぎこちない態度を取っている。
 その理由は簡単で、媚薬が魔力を感知して強い刺激を与えたことだった。

 媚薬の効果が切れるまで、夕映は魔力を使うたびに媚薬を塗られたクリトリスとアナルに強い刺激を受けることになる。

「たまーに、魔力を使い始めた人は体のどこかが熱くなるときがあるんだよ。
 別にそういう風に感じない人もいるんだけど……大抵熱くなる箇所は他の部位よりもより敏感である場所らしい。
 夕映ちゃんは、魔法を使って、何か熱くなったところがあった?」
「え? い、いえ! べ、別にそんなことなかったです!」

 口調が強くなったり、顔を耳の先まで赤くして、汗をかきまくっている状態で夕映は嘘をついた。
 見え見えだが、あえてここでバラす必要は全くない。
 全ての楽しみは契約暗示を与えた後に、ゆっくり味わうことにしよう。

「よろしい。じゃあ次のステップに……と言いたいところだけど、
 次に進むのは一旦止めて、ゆっくりと地力を付けることを先にやろう。
 夕映ちゃんなら知っているかもしれないけど……瞑想ってのに挑戦してみよう」
「瞑想ですか?」
「そう、瞑想。
 己と世界とをつなげるトランス状態に自らの身を没する修行法さ。
 それにより、魔力との親和力が高くなって、より少ない魔力で効率的に運用することができるようになる。
 魔力のコントロールを身につけたら、次は効率化を図ることをする、ってのはわかるよね」

 本当の瞑想は、それはそれで辛い。
 即身成仏一歩手前ぐらいまでやって、ようやく目に見えた能力向上が期待できる。
 体力を減らすときも増やすときも命の危険がつきまとっているし、
 折角成功して能力が上がっても、脂肪や筋肉を体につけるとまた元に戻ってしまう。

 この世界の一般的な、砲台としての役割を果たす魔法使いというのが虚弱体質なのにはここらへんに問題がある。
 魔力を高めるためには体力を削らなければならなくて、体力を削りたくなければ魔力が高められない。
 凡庸な魔力しか持たない人間は、どちらかの選択を強いられる。

 産まれ持った魔力の最大値が高い人間は、どちらの道を選ぶのか、なんてさして迷いもしないだろう。
 魔法剣士のように肉弾戦を学び、尚かつ砲台としての役割を果たす人間もいる。

 かの有名なナギ・スプリングフィールドも、
 これまた有名な魔法剣士であるジャック・ラカンと殴り合いが出来る魔法剣士であるにかかわらず、
 得意とする魔法は古代語呪文の『千の雷』……雷属性の最大規模の魔法だったらしい。

 なんでも不自由なく出来ちゃう天才ってのは世の中にはいるもんだ。
 そうでない凡人なんかは、色々なものを捨て去って、尚かつ少ない選択肢を辿ることしか出来ない。

 途中から愚痴が入ったが、簡単に言えば、現段階で瞑想なんてしたって意味がないということだ。
 じゃあ、なんでさせるのか、というと、簡単に言えば楽しむためである。

「トランス状態になるための導入はこちらから行うから、今回はコツというか感覚だけ掴んで貰うことにするよ。
 一旦、この瞑想を覚えられたら、いつでもどこでも一人で魔力を高める練習が出来るようになるからね」

 もちろん、そんなお気楽極楽なもんじゃない。
 せいぜい、応用して、眠れないときに数分で眠るテクニックが身に付く程度だ。

「何をすればいいですか?」

 夕映はまだ感じ入るところが気になるのか、もじもじしながら聞いた。
 相変わらずの穏和な表情を浮かべたまま、適切な指示を出す。

「寝たままでいいから、リラックスして……心を開くように」
「わかったです」

 夕映は再び体をベッドの上に横たわらせ、指示されたとおり、目を閉じた。
 エドのいにっきを開き、片手でさっさと催眠導入を行った。
 いまや夕映の信頼値は非常に高くなっており、催眠に落とす暗示程度ならば簡単にかかるようになっている。

「……さてと」

 俺は立ち上がり、一旦部屋の外へ出て、廊下に置かれていた荷物を部屋の中に運び込んだ。
 さすがは俺の情報を顔もろくに見せないのにやたら知っているらしい上層部が用意した別荘だ。
 地下室に存在する『設備』は非常にいいものだし、そこにしまわれていた道具も多くの種類が調えられている。

 適当に見繕ってきたものを持ってきたが、大きめの段ボール一箱分にもなってしまった。
 折角だから全部試すつもりだが……。

 さてさて、じゃあまず最初はこれを使おうかな?

 球がいくつか連なっている細い棒で、取っ手の部位に毛があり、
 犬の尻尾を模した形状になっているアレと、真っ赤な首輪、それにあと普通の犬耳バンド。
 これで、何をするかわかったろう?






 ログハウスの外は小さな雑木林になっている。
 折れた枝やとがった石は既に魔法で取り除かれており、地面には柔らかい枯れ葉が敷き詰められている。
 その中をゆっくり歩き、景色や空気を楽しむ。

 景色ったって、ここは水晶球の中。
 すぐそこにガラスの壁があるわけだが、空気は中々のもんだ。

「いいところじゃないか、なあ? ゆえ?」

 なんだか少し気分がよくなり、振り返って、地面にはいつくばる愛犬を見た。
 お察しの通り、犬に耳や尻尾や首輪などを付け、わんわんお散歩プレイを行っている。

「わ、わんわん……」

 瞑想と称して催眠状態に落とし、半分だけ覚醒させた状態にとどめているため、
 夕映にはまるで夢を見ているような感覚しかない。
 ただ、わずかな情動はあるらしく、俺が目を向けたときにはびくっと体を震わせ、
 自分の体の見られたくない部位を少しでも隠そうとするが、成功するには至っていない。

「ほら、お手」
「わん……」

 悲しげな声を上げて、夕映は俺の差し出した手に自分の手を載せる。

「おかわり」
「わん……」

 同じように反対の手が載せられる。

「ちんちん」

 今度は指示に従うことを躊躇した。
 流石にあの格好を取るのは心理的なブレーキがかかっているみたいだ。

「んー? ちゃんと言うことを聞けない子には、お仕置きが必要かな?」

 お仕置き、というキーワードにびくんと反応した。
 足を震えさせながら、しぶしぶと夕映は膝を曲げたまま起きあがる。

 凹凸のない体格が明らかになり、俺の目に映る。
 品定めするような目つきでなめ回すように見てやると、夕映もそのことに気づいたのか、びくっと体を動かした。
 だが、流石にお仕置きが怖いのか再び四つんばいになることはない。

「よしよし、ちゃんと言うことを聞ける子はいい子だぞ」

 ぽふぽふと夕映の頭に手を載せて、撫でてやる。
 屈辱的な行為であるはずのそれを受けた夕映だが、お仕置きが免れたということにほっとした様子だった。
 もちろん、俺としてはこのままで終わらせる気は毛頭ない。

 頭に載せた手をそのまま下におろす。
 頬に触れ、鎖骨を辿り、胸の中心部をなぞり、臍を避けて、割れ目に到達する。

「きゃうんっ!」
「でも、ここが濡れているぞ?
 言うことを聞けても、淫乱なのはどうしようもないな」

 にじみ出た透明な液体を確認した後、ゆっくりとクリトリスを包皮の上から、とんとんと叩く。
 夕映は小さく短い悲鳴を上げ、ぐらりとふらついて、俺の方へ寄りかかってきた。

「こらこら、まだ止めていいって言ってないぞ。堪え性のない子はお仕置きが必要だな」

 夕映は俺に寄りかかってきた体勢のまま、ぎゅっと俺の背中に手を回して、強く締め付けてきた。
 いかなるお仕置きをされるのか、そしてそのお仕置きをされてどうなるのか、はっきりわかっているからだ。

 俺も夕映を抱きしめるように腕を回し、背中の筋にそってつつと下げていく。
 やがて尾てい骨に触れ、更にそこを下に行くと、固いものに触れた。
 微かに触れた刺激ですら、夕映には非常に大きな衝撃であったようで、
 俺の背中に回された腕には一層強い力がこもり、吐く息も荒くなっている。

 そっと、その指先に触れた固いモノを握りしめる。
 ふさふさとした毛の感触が心地よい。

 これから来る衝撃に耐えるべくか、夕映は更に強く抱きしめてきた。
 俺の首もとに吸い付くように顔を密着させて、伏せる。

「……ッッ!!」

 ぞぼり、と球体が暗くぬくい穴から抜け出る。
 電気ショックでも当てられたかのように夕映が震え、俺の耳元で微かに聞こえる程度の小声で
 きゃうんきゃうん鳴き始める。

 尻に刺さったアナルバイブに埋まる球体状のくぼみは、もちろん、一つだけではない。

 足下にすりよってきた子犬を蹴飛ばすことに快楽を覚えるような、そんな残酷な感情に支配され、
 犬の尻尾をかたどったアナルバイブをぐりぐりと左右に動かしながら、
 括約筋のリングにもう一つのくぼみを通過させる。

「ッッ!! ッ、ッ!!!」

 声にならない叫びが聞こえる。
 夕映の爪が俺の背中に突き立てられ、地味に痛い。
 とはいえ、夕映が現在感じている悦楽の発露と思えば、たいしたことはない。

「ぁっ、やぁっ、も、もう、だ、だめ、ですぅ」
「おいおい、犬が人間の言葉はしゃべるわけがないだろう?」
「ぁっ、で、でもっ、もうっ」

 ずりずり、とアナルバイブを抜き差しする。
 きゅぽきゅぽと音を立てて球体状のくぼみが括約筋をとろかすように通過していく。

 ぎゅっとしがみついていた夕映が、俺の首筋に歯を立て始めた。
 流石に痛みが走るが、こんなことで中断したら興ざめも甚だしいし、
 ましてや肉を食いちぎられたわけでもないわけだから、十分耐えられる。

 夕映の口がふさがってしまって、かわいい泣き声を聞けないのが唯一の気がかりだが、
 引きはがすのはタイミングをいつしすぎている。

 秘裂からあふれ出た愛液を巻き込み、
 事前に腸の中に注入しておいたローションが作用し、にゅりゅにゅりゅというねちっこい音が聞こえてきた。

 そろそろ夕映の絶頂タイミングだろう。
 夕映の情動が、魔力を通して感じられる。

「もう、もう、だめですッ!」

 寸前まで高まった興奮が破裂する直前に、夕映は俺の首から口を離した。
 そして、それを感知した俺も、アナルバイブの取っ手から手を離した。

「ふぇっ……え? ええ!?」
「お仕置きはこれでおしまい。さ、散歩を続けるぞ」
「え、ええええええええ!?」
「犬はわんとしか鳴かないはずだが……そんなことも忘れたのか、この馬鹿犬は」
「う……わ、わん……」

 絶頂に達する直前で止められて、非常に面食らった様子を見せる。
 無理矢理語感を強め、威圧感を出して命令をすることで、夕映は再び犬語に戻ったが、
 その態度は明らかに物足りなさを示している。

 切なげな視線をあからさまに投げつけてくるし、
 さっきまでは、俺の目から隠そうとしていた部位を見せるかのように動きが大きくなっている。
 俺の足下をうろうろしているし、俺の足に背中をこすりつけてくる。
 まるで、発情の仕方も犬のようになったようだ。

 くっく、と笑い出しそうになるのをこらえ、
 さも『今思いついたようではない』ように、切り出す。

「そうだ、ゆえ。ちょうどここにいい案配の木が生えてる。
 犬の散歩っていったらマーキングだろ? ここで一つマーキングしてみようか」
「わ、わん?」

 夢見心地だった夕映も流石に身をすくめた。
 一歩、二歩と後退して、許しをこうように、悲しげに鳴くが、俺は見逃しはしない。

「ほら、ちゃんと出来たら、『ご褒美』をやるからな。
 ……今度は、最後までやってやるから」
「う……わ、わぅぅん……」

 嫌がっていたが、『ご褒美』と言う言葉につられてか、恐る恐る木の傍らまでに進んだ。
 人の目を意識しつつも、片足をあげ、自分の足に小便がかからないようにポーズをとった。

 細い太ももの肉が微かに揺れ、膀胱の筋肉が蠕動しはじめたのが確認できた。

 俺はにやりとした笑みを隠さずに……どうせ夕映の位置から見えないわけだし……
 そっと手を伸ばし、夕映の尻から生える尾を掴みあげる。

「ほら、ご褒美だ」
「ッッッッイィッッッッッ!!!」

 一気にアナルバイブを引き抜いた。
 あまりに急のことだったのか、抜けた一瞬、夕映の肛門はまるで空気を吸うかのようにぱくぱくと開いていたのが見えた。

 夕映は体を限界まで仰け反り、不意に襲った快楽の波に打ち負けて、出そうとしていた尿を吹き出した。
 黄金色の液体が吹き出て、木の根本を濡らし、弾ける。

 全てが出終わる前に、夕映は手足から力が抜け、その場に倒れ込む。
 じわりじわりと尿が溢れ、まるでおねしょをしたかのように地面に黒い染みが広がっていく。


 全てが終わった後、夕映は意識を失っていた。
 強い刺激に脳がオーバーヒートを起こし、意識をシャットダウンしたのだ。

 またもや気絶した夕映を、抱えあげる。

 多分、この後、何もせずに夕映の正気を取り戻してやれば、完全に洗脳することが可能になるだろう。
 だが、ここはあえて一旦夕映の記憶を消す。
 そしてまた、瞑想をやる前のベッドから起きるシーンからやり直しをする

 まだ使っていない道具が山ほどある。
 それを使わずに、完全洗脳してやるのはもったいないし、
 なんにしろ、今までかけた全ての暗示から解き放たれた夕映の脅える顔を考えたら、非常にもったいない。

 何度も何度も、無意識下で死ぬほどの恥をかかせ、上書きしてやる。
 そうして一気に訪れる解放……暗示の崩壊……ああ、今の夕映も十分魅力的だが、
 クライマックスに訪れた夕映はどれほどすばらしいものなのか。

 今からでも、待ち遠しくてたまらない。