第3話 メドーサ

 俺こと横島忠夫は、俺の嫁こと小竜姫様のいる妙神山を下山するとすぐにメドーサを探し た。
 文珠を使い、下界に潜伏しているメドーサのアジトを発見するや否やそのまま転移する。

 ドアを蹴り壊し、突入する。

「なんだい、お前は!」

 突然現れた俺に驚くメドーサ。
 流石にプロなのか、うろたえていても直ぐに戦闘準備を整える。

 まともに戦っても小竜姫様と互角の実力を持つらしいメドーサとて、俺にとってはアリと同じようなもんだ。
 エネルギー結晶を二個をもち、文珠使いである俺に勝てるヤツは存在しない!

 突き出してきた刺叉を奪い取ってはへし折り、奪い取ってはへし折り。
 霊波砲を打ったら弾き、打ち返し、おいしそうに食べたりしてやる。
 メドーサも俺みたいな化け物を相手にしたことがないのか、あせりまくっている。

「喰らえッ!」
「甘いッ!」

 メドーサが無駄なあがきをしている。
 食らうわけがない霊波砲をやたら滅多に打ってきた。
 こんなもの、何発当たったところで痒くもない。
 ニコニコ笑いながらスキップして進むことができるさ。

 回避することすら億劫で、そのまま全弾受け止めてやった。
 煙がもうもうと上がり、視界が遮られる。
 メドーサは仕留めたと思っているみたいだ。
 煙で見えないけれど、気配は全く動いていない。

 ゆっくりと煙の中から出てきてやると、メドーサは驚愕の表情を浮かべた。
 まさか出てくるとは思わなかったのだろう。
 さっきの攻撃もそれなりに全力だったのか、息を切らせている。

「くそっ、一体なんなんだい!」

 ようやく勝てないと悟ったのか、メドーサは空を飛んで逃げようとした。
 もちろん、俺は逃がすつもりはない。
 小竜姫様とは違って、こいつは悪役なので罪悪感を全く持たずにヤっちゃえるのだ。

 ハンズオブグローリーを伸ばし、足を掴む。
 そのまま引きずり下ろして、目の前に引っ張る。

「ぐ……」

 メドーサは金色の瞳でこっちを睨んできた。
 しかし、そんなことで動じる俺ではない。

 それにしても、ええ乳だ。
 これはとてもええ乳だ。
 乳だけじゃなくて、ボディラインも中々素晴らしい。

 残念ながら、ちょっと年増であることが気にくわない。
 気にくわないなら、直せばいい。
 月のときのように、俺の体に取り込んで若返らせるのは面倒だ。
 なので、文珠をいくつか投げて補正してやった。

「な……ッ」

 あっという間に月のときと同じく、ギャルなメドーサに変化する。
 メドーサは自分の体に起きた異変に驚き、しきりに手を見たり、顔を触ったりしている。

 いきなりヤるっていうのもなんだから、一応説明しておくか。

「お前が好き勝手に動いていると、某所で堪え忍んでいる俺の嫁が色々動かざるを得なくなるんだ。
 あんな腰砕けの状態の子を動かすのはちょっと気が引けるってもんで、お前を捕まえさせてもらった、メドーサ」
「一体あんたはなんなんだい! ムシケラの人間のくせに、私の弟子と霊波砲を……」
「俺はスーパー人間の横島忠夫! お前の野望は挫かせて貰った。と、一応、前置きと建前はここで終了。
 本音は、お前をヤることだ」

 メドーサは目を丸くした。
 金色の瞳がこっちを向いている。
 うむ、仕草だけはかわいいぞ。

 実際のところ、今の段階でメドーサを襲うつもりはなかった。
 けど、小竜姫様が俺の嫁になったことにより、手出しをせざるを得なくなったのだ。
 もし万が一、メドーサが小竜姫様の異変に気づき、妙神山を襲ったら……。
 普通に考えて、いくらメドーサとてそこまでリスクのあることはやらないだろうが、どんな小さな可能性も摘んでおくに限る。

 ……べ、別に小竜姫様とメドーサで3Pしようかと思ったからじゃないからな!

「ば、バカ言いでないよ! そんなこと出来ると思ってるのかい!?」
「うはは、出来るかどうかじゃない、問題はヤるかヤらないかだ!」

 しかし、ただやるだけではつまらない。
 二字熟語文珠を取り出すと、自分に使った。

「な、なあっ!?」

 マイボディーの一部が変形し、イカシたモンスターに変化する。
 二字熟語文珠にこめた文字は『触』『手』
 小竜姫様に対して色々やったが、こういうファンタジーのものはまだ使っていなかったのだ。

 チンコがびみょーんと伸び、色々分化してもさもさ動く。
 肉色のそれはちょっとグロかったが、中で女の子が藻掻いていれば途端にエロくなる。

「ひっ! こ、この!」

 メドーサがびしんと一本のチンコを弾いた。
 しかし戦力差は圧倒的。
 あっという間に数十本増えたチンコは、たった二本の手では相手にならない。
 しかも俺の触手は特別製。
 一本でもメドーサより強い、と思う。

 しばらくメドーサは俺の触手相手に頑張っていたけれど、流石に戦力差に気付いたらしい。
 バックステップで間合いを取ると、俺に向かって一睨みしてきた。

「この化け物め……」

 まさしく今の俺は化け物と呼ばれて間違いない体だった。
 触手だからな。

 メドーサは俺との実力差がようやくわかったらしい。
 刺叉と霊波砲で健気にも触手と戦っていたが、それら全てが無駄だということを悟り、撤退行動を取ろうとした。
 しかし、俺がそんなことを許すわけがない。
 というよりか、むしろ、それを願っていたというか。

「今回は引き分けにしと……」
「逃がすかッ! でぇぇいッ!」

 空を飛んで逃げようとしたメドーサの右足を、触手の一本が絡め取る。
 そのまま決して離さずに、跳躍は許さない。
 かといって一気に引き寄せるのもつまらない。
 なんとかして足に絡まった触手を外そうともがくメドーサを観察した。

「くッ、このッ!」

 メドーサは空中に浮きながら、俺の触手を剥がそうと頑張っている。
 服の上から食い込む触手に指を引っかけようとしているが、中々うまくいかない。
 それもそのはず、この手のエロ触手にはお約束のように表面が粘液に覆われており、滑ってしまうのだ。
 もちろん、その粘液は直接肌と接触することで催淫効果のあるヤツだ。
 ここまで言ったら言うまでもないだろうが、粘液を通して接触すればその効果は数倍に跳ね上がる。

 爪を通されるという心配もございません。
 メドーサごときの爪で刺されるようなやわな触手じゃありませんから!

 必死に触手を引きはがそうとしているメドーサの背中を、他の触手でつつく。
 メドーサが背後に振り返ったところで、横腹を撫でる……足をとらわれて、逃げられなくなったメドーサはもうされたい放題だ。

「私を嬲るつもりかい!?」

 最初からそう言ってるじゃないか。
 理解するのが遅いなあ。
 俺の顔を睨み付けてきたら、後頭部を小突く。
 本当に俺のことを憎々しく思っているんだろう。

 その憎悪の視線を感じるとゾクゾクするけど……この気の強いメドーサが俺に許しを請う姿も見てみたい。

 触手を動かし、次のステップへ。
 右足だけでなく左足と右手、左手に触手が絡みつく。
 無理矢理体を大の字に広げさせ、磔されたかのような格好にする。
 正面を向かされたメドーサは、俺の顔目掛けて唾を吐いてきたが、それすらも上手く回避してみせる。

「なあ、メドーサ。お前も思わないか?」

 声を掛けてみる。

「何がさ」

 メドーサは力の差を知りつつも、まだ脱出しようとしているらしい。
 素っ気ない声だが、俺の隙を作り出そうと思っているのか呼びかけに答えた。
 多分、解放する条件なんかをこれから俺が告げるとでも思って居るんだろう。

 もちろん、俺はどんなことがあっても真の意味で解放なんてするつもりはない。

「折角触手プレイという素晴らしい、人類の夢を叶えるんだ。
 これだけたくさんある俺の触手に、女一人っていうのは寂しいよな」
「……は?」

 準備に抜かりはない。
 こんなこともあろうかと、用意しておいたのだ。

 懐に入れてあった二字熟語文珠……上が赤で下が白という特別製のものを取り出した。
 普通の二字熟語文珠よりも更に大きく、大体野球ボールくらいの大きさだ。
 別段、この形状に意味はない。
 ただ演出上の関係とでも言おうか。

 篭められている文字は『封』『印』
 特別製の二字熟語文珠をメドーサの横あたりの地面に目掛けて軽く放る。

「君に決めたッ! なんちて」

 特別製の二字熟語文珠は中央でぱかっと割れて、中から眩い光があふれ出てきた。
 マグネシウムの燃焼反応のようなそれが終わると、二字熟語文珠の上あたりに一匹の魔族が現れた。

「な、なんなんだ!」

 ハーピーだ。
 美神さん親子を襲撃し、隊長に撃退された魔族。
 十七年ぶりに復活を遂げたところを待ち伏せして、娑婆に戻ってきた直後に俺が捕獲した。
 さっきの特別製の二字熟語文珠、俺命名『モンスター文珠ボール』の試運転も兼ねていた。
 これは『マスター文珠ボール』と呼んだ方がふさわしいほどの力を持っているけどな。

 とはいえ、ただ捕獲しただけなので俺のために戦ったりはしてくれない。

「フェザーブリッド!」

 むしろ攻撃までしてくる有様で……まあ、いきなり捕獲したからしゃーないのはわかるが。
 ハーピーの放ったフェザーブリッドを触手で弾く。

 ここでハーピーを出したのは、メドーサに触手君達の本領を見せつけるためだ。
 メドーサみたいにまどろっこしくいじめるようなことはしない。

「な!」

 今見てみるとハイレグみたいな毛皮の切れ込みは結構激しい。
 太ももも白くて柔らかそうだ。

 触手を二本、ハーピーの両の足首に巻き付かせる。

「き、気持ちわるッ! 放せ! 放すじゃん!」

 触手のぬるぬるにハーピーは嫌悪感を隠さず声を上げる。
 一生懸命羽ばたいたり、足を振ったりしてもがいていたけれど、俺が逃がすわけがない。

「ひっ!?」

 遠慮はしない、一気に決める。
 大量の触手がハーピーを囲む。
 あっという間にハーピーの体は触手の山に飲み込まれる。

 メドーサからでは中から何が起こっているかは見ることができない。
 俺は触手の超感覚によって、何が起こっているのか、正確に察知しているけどな。

 ミスター触手君のオプションは、実際のところまだ半分も発揮されていない。
 メドーサに手の内を見せるのもなんだから、ハーピーが飲み込まれた触手の塊の中でだけ、今はその素晴らしさを披露しよう。

 まず尿道口に当たる部位。
 自在に開きます。
 開くだけじゃあ芸がない。
 小さな歯があって、噛みついたり、軽い物なら持ち上げることができるのだ。

 今回はそんなオプションをこう使う。

「痛ッ! や、やめ! 羽はやめ……」

 まあ、血を見るのはあまり趣味じゃないので、血の出ない範囲で羽根を毟る。
 羽根の先端を数本の触手の口で噛み、引っこ抜く。
 痛くしたら洒落にならないくらい痛そうなので、出来るだけゆっくり優しく抜いてやった。

 瞬く間に腕部分に生えている羽は全部抜かれて、ハーピーは武器と飛行手段を失った。

「くぅッ……」

 そしてその後第二陣。
 カウパー腺液のように先端からにじみ出した粘液を、羽根の抜けた部位に塗り込みます。
 敏感になっている箇所に、この催淫液を塗りたくれば効果は更に倍増する。

「ふ……ぁッ……くぅ……」

 触手から皮膚に塗れる量なんて微々たるもの。
 足首に巻き付けられたときに塗られた粘液の効果も出てきたのか、触手にいじめられるたびに押し殺した声が漏れる。

 第三陣突撃。
 やわらかそうな太ももに突撃させる。
 ぬるぬると数本巻き付かせ、先端の歯で甘噛みしまくる。
 白くてすらりとした太ももに無数の歯形が浮かび上がる。
 その上に、例の粘液がべたべたべたべたとこびりついていく。

「ぐ、ぐぅぅッ……」

 ハーピーは甘噛みされる感触と、粘液の催淫効果に耐えつつ、睨んでいる。
 とはいえ、触手の塊の中にいるハーピーに俺のいる場所はわからないのか、見当違いのところを見ていたけれども。

 お次は服だった。
 レオタードのような毛皮を、引きちぎる。
 といっても切る場所はほんの数カ所。
 最も大切な部位を守るところと、胸の頭頂付近のみだ。

 それぞれ三本ほどの触手が殺到し、レオタードを分断しないよう、且つ行為の邪魔にならないように引き裂く。
 これは直接目で見て確認せねばなるまい。

 触手の塊ごとハーピーを引き寄せて、俺の眼前にハーピーの体を晒した。
 ハーピーはまるで磔にされているように、両手と両足を開き、頭部を固定されている。
 手を伸ばせばすぐに触れられるくらい近くに寄せてから、ハーピーに声を掛けた。

「こ、殺してやる……絶対に殺してやるッ!」

 ハーピーは怒りに燃えるおめめで俺を睨んできた。
 条件反射的に謝りたくなってしまったけれど、ここはぐっと我慢して、ちょっと不敵に笑ってみせる。

「ほう……」

 ほんの少し腕を上げて、人差し指と中指でハーピーを嬲る。
 レオタードの穴から見える秘めやかな場所を、つんと突くと、堰を切ったようにどろりとした液体があふれ出てきた。
 ハーピーは相変わらず俺を射殺さんばかりの視線を投げかけてきているが、先ほどまでの威厳はない。
 指でいじるどころか、息を吹きかけるだけでも、あぁん、と色っぽい声を上げて喘いじゃうからだ。
 何言おうが、睨み付けようが、一瞬で黙らせることができる。

「よし、やるか」

 しかし、なんだかこれだとヤっている気分にはなれんなー。
 いや確かにマイ触手君達の感覚はあるんだが、どうにも慣れない。
 触手のスーパー文珠も見せ物としては面白いんだが、実際にヤルなら普通の方がいいなあ。

 と、思いつつ、折角出したのだから最後までヤろう。
 ヤってみたら、本当は良かったりするかもしれんし。

 触手群の中で最も力があり、最も神経がリンクしている一本の触手。
 言うなれば触手の中の王、ロード・オブ・触手をたぐり寄せる。
 俺の自慢の天然の息子に一番近いそれを、右手で掴む。

「何か言い残したことはあるか?」

 返答の代わりに、ぺっと唾を顔に吹きかけられた。
 もちろん、バリアー触手君(オートガードver)が防御してくれたけれども。

 ぐいっ、とバイブを挿入する要領で押し込んだ。
 途端、ハーピーはなんだかよくわからない声を上げ始めた。
 全身をびくびくと震わせている。

 大の字に体を貼り付けられて、こうやって震えているのを見てるとなんか拷問しているみたいだな。
 拷問しているようなもんなんだけど。

 マイ触手君のスーパーオプションのその2は、アレだ。
 表面にごつごつした突起がついているのだ。
 毒々しい色をした派手なバイブみたいな、あんな感じで。
 もっと言えばコマしヤクザが標準装備しているらしい、真珠みたいな。

 ま、まあ、まだまだオプションは色々とあるぞ。
 亀頭の裏側の収納スペースには、イソギンチャクみたいな小型触手が一杯詰まっているのだ。
 俺の意思一つで、隠された触手Jr達が縦横無尽に暴れ出す。

 こんな風に。

「ひぃっ! あっ! あああああッ! なかで、中でぇぇぇぇぇぇぇぇぇッッッ!!」

 体験者談は「ひぃっ! あっ! あああああッ! なかで、中でぇぇぇぇぇぇぇぇぇッッッ!!」だそうだ。
 実際、こんなものが膣の中で暴れまくっていたらたまったもんじゃないだろうなあ。
 これがゲームだったらまず間違いなく「こうか は ばつぐんだ!」と表示されているだろう。
 何のゲームかはさておき。

 膣内の襞の隙間をはうように動くミニ触手達。
 元々催淫液の効果もあっただろうから、まだ挿入して三分も経っていないが、何回イったんだろうか。

 挿入にあたって、俺の抱いた感想とゆーのは……。
 うーん、なんかこう……確かに気持ちよくはあるけれど、同時に気が散ってしまうというか。
 なんかこう、釈然としない快楽と言うか。
 予想していたよりも面白くない。

 どちらかというと、女の方に負担をかけるセックスの一つではあるのか。
 触手に貫かれて身もだえしている姿を見るのは、確かに眼福であるし、これはこれで応用が利きそうでもある。
 ただ自分自身の快楽を求めるのにはちょっと向いてないみたいだ。

 等々、自己分析はそれまでにしておいて。

「おおっ、お腹の中で動いているのがわかる」
「やめっ、やめぇぇぇぇぇッ!」

 下腹の辺りに触れてみると、中で小触手達が蠢いているのがわかる。
 多分、レオタードをはぎ取れば、動いている様子が目でも見ることが出来るだろう。

 ハーピーは俺がお腹に触れると、更に身を捩って逃れようとした。
 ただでさえ敏感になって、なるべく刺激を少なくしようとじっとしていたのに、俺に触れられて色々と台無しにされたんだろう。
 さっきとは打ってかわって涙目で俺に訴えかけてきている。

 ふむ、このままずっと責め続けてもいいけど……。

「うぁッ! ふぁッ!」

 ずるりと音を立て、俺のともハーピーとも知れぬ粘液の糸を引きつつ、マスター触手を引き抜いた。
 引っこ抜くときに肉がめくれあがり、そこはかとなくエロス。
 うーむ、こうして出たり入ったりするところを遠目で見られるとゆーのも、この二字熟語文珠の利点でもあるか。
 他の男やらバイブやらのものが俺の女に入るところを見るのは嫌だし、今まで見たAVは全部モザイクかかってたしなッ!

 ちなみに、俺が見る分にはキモイので、子触手達は亀頭の裏の収納スペースに収まってもらっている。
 ねっちょりと粘液にまみれた、触手キングの根元を掴み、ハーピーの顔を見る。

 ハーピーはぐったりとして、首を前に折って、息を荒くしている。
 下から覗いてみても、反応はない。

「……おーい」

 ほんの微かにハーピーは反応した。
 声はきこえているみたいだ。

 なんだ、まだ余裕か。

 いまいち、他人の体力の限界というものがはかれなくなってきた。
 何せ俺はもう疲れ知らずのスーパーマンなのだ。
 体力底知らずなわけで、他人の体力を測る尺度が無いせいで中々分かりづらい。
 俺の嫁こと小竜姫様みたいな、素で体力が高い人ならまだしも、ハーピーはね。

 これが美神さんだったら、俺の霊力を共有して向こうの体力も引き上げるんだけど、ハーピーにはそれをしない。
 むしろ俺の記憶によると、こいつに殺されかかったわけだし、さして罪悪感は沸かない。
 まあ、殺されかかった云々を言っちゃうと、美神さんにだって殺されかけたわけだが、それはそれこれはこれ、というわけで。

「じゃあ、準備運動は終わりな」

 まだまだ始まったばかりだ。
 まあ、この分だと終わるのも早そうな感じだけれど。

 今回のメインは飽くまでメドーサ。
 ハーピーなんておまけに過ぎない。
 そこんところを忘れてはいかんのだ。
 連載初期から後期まで幅広く登場し、巨乳だったり若返ったりする魔族とたかだか一巻に収まるような登場シーンしかない魔族では比べものにならないだろ。
 作品の出現度と対応するように、この場での処遇も差を付けなければ逆に不公平だ。

 再びわさわさと愉快な仲間達(触手)がハーピーを包み込む。
 俺も感覚を一部シャットダウンして、オートモードに。

 再び大量の触手がハーピーを包み込む。
 完全に肉の塊のような状態にある。

 それとほぼ同時に、壮絶な声が上がった。
 生きたままサメにかじられるときに上げそうな声みたいな。
 そんな、文字に変換することが出来ない類の声だ。

 連合軍触手部隊は完全オートモードで感覚を切っているので、俺にもあの中で何が起こっているのかわからない。
 ただ、尋常じゃないことが起きているのはわかる。

 我ながら、半端ないなあ、と。

 まがりなりとも魔族であるハーピーでも、俺にとってはアリとさして違わない。
 ほんのちょっと力を出せば、ぷちっとつぶせちゃう。

 色んなことを考えていたら、作業は完了したようだった。
 わさわさと触手達が散ると、ハーピーがころんと地面に転がり落ちる。
 毛皮のレオタードは既に無惨にも引きちぎられ、剥き出しになった白い肌には白くてべたべたしたものがべっちょりとこびりついている。
 下腹部は不自然なほど膨らみ、秘裂と菊門からおびただしい量の液体が……。

 少しやりすぎたというか、少しどころじゃないというか。
 まあ、いいか。

 触手の一本を足に巻き付かせ、そのままずるずると引っ張る。
 死んでるってことはまずないだろうけれど、一度生死を確認する。
 うん、生きてる。
 よかった。色々と。

 ただもう、色々と放心状態というか、脱力状態というか。
 あの触手の塊の中で徹底的に陵辱されまくったのだろう。
 どう見ても過剰な催淫液を全身に塗りたくられ、飲まされ、注がれた状態で、あんなエロモンスターに襲われたのだ。
 そりゃいくら魔族でも相当堪えただろう。
 肉体的にも、精神的にも。

 まあ、この子は後で俺がメンタルを癒しつつ、優しくエッチしてやろう。

 再び『モンスター文珠ボール』を取り出して、ハーピーに向かってかざす。
 すると文珠ボールの中央部から赤いレーザーポインタみたいな光が出て、ハーピーに当たる。
 あっという間にハーピーは光に包まれ、文珠ボールの中に戻った。
 気分は『よくやった ハーピー もどれ』って感じだ。

 野球サイズの大きさだったモンスター文珠ボールを通常の文珠サイズに戻して、ポケットの中にしまうと、メインディッシュを見た。
 流石の冷血女でも、あのハーピーの末路を見てビビッているみたいだ。
 顔が青ざめて、俺が視線を動かすとびくっと身を震わせる。

「くっ、こっ、この、放せッ!」

 割と必死になって足に絡みついている触手を殴りつけるメドーサ。
 もちろん、そんなものでどうにかなるような柔な触手ではない。

 しかし、このままメドーサを食べる、とゆーのは少し味気ない。
 もうちょっと頑張って抵抗してもらって、手も足もでない状態まで追いつめたい。
 触手を緩めると、メドーサはすかさず逃げ出した。

 一瞬で空気の質が変わるのがわかる。
 メドーサは超加速に入ったようだ。
 敢えて目で追いかけず、そのままにしてやる。
 プライドの高いメドーサだ。
 逃げるにしろ、一矢報いようとするはず。
 その一矢を真っ正面から受けて、いとも簡単に粉砕してやるところを見せつけてやろう。

 超加速状態が解けた。
 その瞬間、俺が見たものは……ッ。

「ロードローラーだッ!」

 空に浮かぶ巨大な車。
 主に道路を整備するための働く車だ。

 こんなものを出してくるなんてちょっとびっくり、というか、どっから取ってきたんだこんなもん。
 あっという間にロードローラーが俺の上に落ちてくる。
 とはいえ、どこぞのオラオラの人とは違って、俺は超加速状態に入って逃げるようなことはしない。
 男なら直球勝負ッ!

「スゥーパーミラクルウルトラデンジャラスバーニング触手アターックッ!」

 触手六号が空から飛来するロードローラーをぶち抜いた。
 いやー、すげーのなんのって、ひょろひょろっと動いていたはずなのに、ロードローラーの鉄の塊をぶち抜いちゃうんだもの。
 その直後、ロードローラーは爆発四散!
 一体どういう物理法則が働いているのかいまいちわからないけど、やっぱり俺はスゴイらしい。

「な、なぁーッ!?」

 やっぱりメドーサも驚いていた。
 折角ロードローラーなんて重い物を持ってきたのに、呆気なく爆破させられちゃうなんて思ってもいなかったはずだ。
 殺すことは出来ないものの、せめて足止め……くらいは考えていたに違いない。
 というか、なんでロードローラーなのかわかんねぇ。
 やっぱり様式美なんだろうか?

「お前には俺を倒すことができないッ!」

 中空で驚いているメドーサに向かって、ずびしぃっと指をさす。

「正義は決して悪には負けないのだッ!」

 ああ、なんて素晴らしくカッコイイ台詞。
 もしも美神さんがこの場にいたら、このたくましい俺に惚れ直すこと間違い無しだ。
 ……ま、まあ、ついでにこの触手をひっこめてたら、の話だけどな。

 メドーサはなんだかツボに入ったようだった。
 目をぎんっという擬音が出てきそうなくらい鋭くして、こっちを睨んできている。
 それでも実力差はわかっているので、攻撃をしてくる気配はない。

 ……いや、本当の実力差をわかっていないな。
 俺がこうやって触手で戯れている今でも、全く本気は出していない。
 色々な術を使って、必死に霊波を抑えているのだ。
 俺の中に内包されている霊力は膨大で、その全てを垂れ流してしまうとかなり大変なことになる。
 色々と見つかったらヤバイ人達にもばれてしまうので、隠しているのだが。

 ……。

 ここはメドーサの使っていたアジトだ。
 当然、ヒャクメみたいな千里眼を持つ神族や魔族の目を眩ますために結界が張られている。
 念のため、事前にその結界を俺が強化しておいた。
 ほんの少し、ほんの少しだけ、俺の力を抑制している枷を外して、片鱗を見せてやろう。

 ぶわっと、周囲が揺れた。
 まるで陽炎のようにゆらゆらと揺れて、軽い物は中に浮き、重い物は地面を擦る音を立てて傾いていく。
 俺の体から漏れる霊波がこのような現象を引き起こしているのだ。
 あっという間に一般人であれば発狂していてもおかしくないほど、霊力が満ち満ちた空間に変化する。

「……な?」

 俺はメドーサに向かって二カッと笑って見せた。
 メドーサの方はというと、俺の圧倒的な力の片鱗を見て、腰を抜かしていたようだ。
 敵対していた人間が、あまりにも強大な力を持つ存在だと今更気が付いたのだ。

 俺はメドーサのもとに歩いて近寄り、ぽんぽんと肩を叩いた。

「さっきはよくも舐めた口聞いてくれたな、ああん?」

 ちょっと高圧的な口調で言う。
 メドーサは顔を青ざめさせ、うつむき、小声で「す、すいません」と呟いた。
 中々、ハートがぐっとくる。
 なんちゅうかこう、心情的にはヤクザの高級車を蹴っ飛ばしちゃったなんちゃって不良学生、とかそんな感じ?

 俺は抵抗しないことに気をよくして、肩を組んだ。
 力を込めてメドーサを引き寄せると、体を小さくしつつもおずおずと体重を寄せてくる。

「謝ってどーにかなることじゃねーだろッ!」

 無意味に声を張りあげてみる。
 しかし、自分で言っておいてなんなんだが、俺ってすごく理不尽なことを言ってないか?
 そもそも謝ってどうにかなること、って、別に謝る義理もないような……。

 まあいいや……いちいちくだらないことを考えていると人生楽しく生きていけない。
 それでも涙目でごめんなさい、と謝るメドーサはかわいいしなッ!

「よーしよし、いい子でいたら、あのハーピーよかもちっとマシな目に合わせてやるからな?」

 にゅるっと伸びた触手をメドーサに持たせ、フェラチオすることを強要する。
 それ自体にあまり意味はない。
 というか、本当に触手はヴィジュアル以外の面は面白くない。
 たかだか数本が射精したところで、得られる満足感は少ない。

 今、大体百本近く出しているんだが、そのうち一本が射精しても、残り九十九本は欲求不満なのだ。
 中々口で説明しにくい概念だが、そういうこと。

 では何故フェラチオさせるのか。
 ケチつけていじめるためだ。

「やる気あんのかコラァ!」

 ああ……気持ちいい。
 こんな罵詈雑言を飛ばして、気分が悪くならない相手はそういない。
 美神さんだと泣き出しちゃって、後で機嫌を直すのが面倒だし、小竜姫様だと本気で思い詰めそうだし。

 中々いい気分になって、さらに言葉責めしてみる。
 フェラチオの巧さは……触手ということもあってか、いまいちよくわからない。

「ほらほら、そんなにちんたらやってたらこのまま突っ込んで、シリの穴から出しちまうぞっ!」

 もちろん、そんなことはしない。
 そんなグロいこと、できるわけないじゃないか。
 ただメドーサは必死になって舌使いを激しくしている。

 なんというか、煩悩よりも少し違うところにメドーサの魅力を感じる。
 ふーむ……これが『萌え』というものか。
 ……ちょっと違うような気もするな。

「ふっ……あッ!」

 メドーサの口の中に収まっていた触手が白濁液を放出した。
 触手は根本がうねうねと唸って、口から抜け、メドーサの顔に盛大に精液が降りかかる。

 要するに口内射精から移行する顔射というヤツだ。
 見た目ギャルという、美神さんよりも小竜姫様よりも幼い外見の子だから、ちょっと禁忌感というか。
 それがいいんだが。

 大量の精液を喉に詰まらせたのか、メドーサはむせていた。
 結構吐き出しているみたいだけれど、もうメドーサはダメだろう。
 催淫液をあれほど粘液で取り込んでしまったのだからな。

 依存性はない……まあ、あったところで文珠で浄化しちゃえばいいんだが。
 いや、浄化もせずにそのままにしといても実は問題ないな。

 しゅるしゅると触手を戻す。
 やっぱり面白くないので、触手はここで一旦終わりだ。
 ここは一発、自慢の一物で勝負を決めよう。

 触手が全て一本に戻り、ごつごつやオプションが消えている。
 貧弱になってる? そんなこたーない。
 うねうねうねる触手とは違う、がっしりとしてしっかりとした存在感がある。
 十七年間寝食を共にした相『棒』は頼れる男だ。

 メドーサを見る。
 メドーサは女の子座りでちょっと見上げるような形で、目をうるうるさせている。
 催淫液が効いているのだろう、実にいい感じにできあがっている。

 ふふん、と余裕の表情を浮かべてみせる。
 そして一言だけ。

「欲しい?」

 数秒の間の後、メドーサはこくこくと頭を縦に振った。
 ふふふ、中々初いヤツめ。

 中身がオバハンである、ということはこのときは絶対に思い出しちゃいけな……。
 あっ、思い出しちまった……忘れろ、忘れろ、俺……。



「……」

 ふと、メドーサの格好を見た。
 文珠で若くしたとき、ミニスカートに変更している。
 ミニスカートと見ると、どうも男の浪漫がこみ上げてくる。

「ちょっと立って」

 腕をひっぱり立たせてみる。
 やや腰砕け状態だったけれど、なんとかその場に立った。

「動くなよ、絶対に動くなよ」

 釘をさしてから、そろそろと頭を下げる。
 ミニスカートの下から、中の桃源郷を覗いた。



 ……。



 ……お、男の浪漫ッ!
 誰にも文句言われずに、堂々とミニスカートを覗く……これを、これをッ、俺は遂にやったんやぁーッ!



 ……。



 文珠使えば、別にいつでも出来ることに気が付いた。

 ま、まあいい。
 表情をコロコロ変えすぎて、メドーサも不審がってるみたいだし。
 ここらにしておくか。

 そろそろと手をミニスカートの中に差し入れて、パンツの紐を掴む。
 そのままゆっくり引き下げて……くるくると丸まったパンツが降りてくる。
 ボトムはびっしょりと濡れて、いかに愛液が大量に分泌しているかわかる。

 片足だけあげさせて、パンツを脱がすけれど、片方の足にはそのまま残しておく。
 これが俺のジャスティスだ。
 パンツは脱ぎかけ=ジャスティスだ。

 上着は……レザーだかなんだかわからないので、切らせてもらった。
 中年メドーサとはいささか劣るが、それでも大きなおっぱいがぽろりと空気に触れる。

「あんっ……」

 やっぱり性悪蛇女とはいえ、こう、色気を見せられてしまうと普通の女の子なんだなー、と思わされてしまう。
 まあ、最初からこいつも俺にメロメロになってもらう、とゆー方向性ではあるんだが。

 メドーサをそのまま押し倒した。
 顔が精液まみれでちょっと気が引けたものの、そのまま乳にかぶりつく。

「あっ……んんっ……」

 あったかいなー、やーらかいなー……やっぱり胸とはこうでなくちゃあかん!
 小竜姫様も……まあ、貧乳とは言わないボリュームだけれども、やっぱり大きい胸こそ男の希望。
 体感時間で三ヶ月間美神さんとはご無沙汰だった俺には、とってもいい感触だ。
 メドーサの匂いも、新しい刺激として伝わってくる。

 うーん……。
 そのまま顔を埋めて、感触に浸る。
 天国にいる気分だ……ずっとこのまま胸に顔を埋めて生きていくのも、いいかもしれん。

 と、そんなお馬鹿なことを考えていると、誰かが俺の髪の毛を引っ張ってきた。
 いや、誰か、といっても誰がやったのかはわかっている。

 ほんの少し顔を上げて、胸の持ち主の顔を見た。
 メドーサは上目遣いならぬ下目遣いでこっちを見ている。
 ふるふると震える、柔らかそうな唇から、熱っぽい息とかすれた声が出てきた。

「は……や、くぅ……」

 んっふっふ、そうおねだりされたら頑張らなきゃな。

「いざっ! 大人の男と女の、夜のプロレスをーッ! 煩悩全開ッ!」

 すたっと立ち上がり、地面を蹴る。
 ふわりと宙に浮かび、そのまま周囲に結界を張り巡らせる。

 結界といっても、外敵を入り込ませないための結界ではない。
 結界内を自由自在に作り替えることのできるタイプのものだ。

 素っ気のないアジトは、瞬く間にどこぞの王城の寝室みたいな装飾に包まれる。
 突如、メドーサのいる地面からもりもりと天蓋付きのキングサイズベッドが出現した。
 やはり、こうでなくてはいけない。


 ……いやーしかし、美神さんのときでもこんなに力を使ったことないな。
 美神さんに知られたら、俺、嫉妬で殺されるんじゃなかろうか。


「わっ……」

 ぽよんぽよんとメドーサがベッドの上で跳ねる。
 なんとかして、体を固定しようとしているが、うまくいっていない。
 ……あの豊かな胸が、ベッドの上で跳ねるたびに、上下左右に振り乱れる。

 ふふふ、多分、ここまで柔らかいベッドで寝たことは一度もないのだろう。
 ふかふかベッドとあちゅーい抱擁と、007並に濃い胸毛で……胸毛はないな……その他諸々の要素でメロメロにしちゃる。

「うおおおおッ! メドーサァァァァァッ!」

 地面を蹴る。
 宙に浮く俺。

 しかし、俺は余裕をちゃんと残している。
 昔とは違ってまっすぐ飛ぶのではなくて……回転を加えている。
 そう、サムスもびっくりなほど空中で回転して、ついでに着衣を全て脱ぎ捨てた。
 何故回転を加えたか、と言われると返答に困るが、敢えて言うならば様式美か。

「きゃっ!」

 どことなく喜色めいた声を上げるメドーサ。
 俺も一緒にベッドの上で跳ねてはそのままがっつけないので、腕をベッドに突きいれて体を固定する。

 ミニスカートをまくり上げ、その奥にある秘めやかな場所を見た。
 メドーサのくせに色が綺麗で、メドーサのくせに形も整っている。
 人差し指を、ほんの入り口に押し当てる。

「ぁッ……」

 じくじくと愛液が溢れてきて、ベッドのシーツを汚す。
 膣内に押し入れた指が、柔らかい媚肉できゅうきゅうと締め付けられている。

 もう準備は万端みたいだ。
 メドーサも小声で、早く早くとせかしている。
 焦らすのも好きだが、ここはもう済ませないと。
 メドーサだけじゃなく、あらゆる方向を焦らしまくってるからな、俺は。

 俺のラムをメドーサに押し当てて、ぐっと腰を押す。

「……ッッ!!」

 メドーサは声にならない悲鳴を上げて、上体を反らし、ひゅーひゅーと音を立てて息を吸っている。

 中々いい感じだ。
 まだ俺の女性経験は、美神さん、小竜姫様、ハーピー……とまあ、あと……数人いたりするわけだが、その中でも負けず劣らない。
 ひょっとしたら、俺の『若』の文珠の効果の一つなのかもしれない。
 今までの女性達は文珠で魅力アップさせるようなメンバーがいなかったのでわからないけれども。


 俺はよかったけど、メドーサはやばかった。
 痙攣しまくっていて、なんか危機感を感じてしまう。

 俺の相棒がグレイトだから、という理由ではないだろう。
 確かに俺の相棒はグレイトだが、それだけでこんなに悶え狂いはしない。
 恐らくさっきの催淫液の効能だろう。

 ……しかし、チアノーゼ? とか思ってしまうほどメドーサが震えているならば、ハーピーはもっとすごい目に合ってたんだろうな。
 精神が壊れていなければいいけど。
 はっきり言って、文珠があれば精神が壊れていようが元通りに治すことはできる。
 しかし、俺の寝覚めは悪くなるだろう。
 その程度しか感じないのか、と言ってしまえば確かに非道な感じなのだけれど、実際万能の力を得てしまうとこんな感じになってしまうんだろう。
 まあ、これが美神さんとか小竜姫様とかになったらそれはそれで別なんだが。

「おーい、メドーサ」

 声をかけてみたけれど、返事は特にない。
 ただ、金色の瞳の瞳孔を完全に開いて、ぶるぶる震えているだけ。

 これは意味やりすぎ、というか、マジで死にそうだ。
 ちょっとぬるいかと思ったが、あんまりやりすぎるのも何だし、二字熟語文珠に『平静』といれて使った。
 ゆっくりとメドーサはふるえをおさめていく。

 しかし、その代わりがっちりと腰をロックされてしまった。

「はぅ……うぅぅ……ぅぅ……」

 腕を首に巻かれて、がっちりと固定されてしまった。
 体も起こそうと思えば起こせるが、そうすると一緒にメドーサがくっついてきてしまう。

「こ……こんなの……だめぇ……」

 うむぅ……何がダメなんだろうか?
 考えてみると、ダメ要素はいくらでも出てきてしまうが。
 しかしこのメドーサ、やたら強い力で締め付けてくる。
 絞め殺そうという意図はないんだろうけれど、それでも一般人なら死んでるレベルの力だ。
 引きはがすのには重機が必要なほど。

 まあ、俺が力を込めればひっぺがせるがな。
 どれ、一つ……。

「だめぇ……これ……あたしのぉ……」

 あたしの、と言われても、俺は俺の物だ。
 ついでに言えば、美神さんの物でも小竜姫様の物でも弓さんのも……げふんげふん……とにかくたくさんの美女の人達のものだ。
 所謂共有財産とゆーやつだ。
 特に俺のグレイトゥな部位は、独り占めなんて許されない。
 まあ、俺は美神さんとかを独り占めにしてるが。

 それはそうとして、メドーサも可愛い性格になったもんだ。
 抱きすがって、私の物宣言。
 はぅはぅ、と唸って、離れようとしない。

 しかし、これはこれで面白くない。
 きゅうきゅうと締まっているから、入れているだけでも気持ちよいとはいえ、腰が動かせないことは致命的だ。

 うーむ……。

 ちょいちょいと引っ張っても、メドーサは離れようとしない。
 それどころか一層強く抱きしめてきて、しまいには俺の玉のような肌に爪を立てようとしてきた。
 まあ、爪なんて立てても傷は付かないけれど。

 では逆に抱きしめてはどうか?
 レッツゴー。

「……」
「……」

 肌の密着度は上がったが、なんか気まずい。
 やたら後ろが気になるというか。
 美神さんにバレたら刺されそうな予感、いや、得物が何であろうと刺さんないけど。

「……」

 何分経っただろうか?
 気まずいというのに、そのままの体勢を維持して、ぼーっとしていた。
 いやいや、中々メドーサの肌の感触はよいものだった。
 ひんやりとしているというか、なんかこう独特で。

 爬虫類にはまるOLの気持ちがちょっとだけわかったような気がする。

 気が付くと、メドーサはすーすーと寝息を立てて眠っていた。
 よくもまあ、この体勢で眠れるもんだ、と思いつつ、なんかやる気が削がれてしまった。

 うーむ、なんだか、なあ?
 いじめている時はすげー楽しかったのだけれど、いざ事を致すとなるとイマイチ盛り上がりに欠ける。
 やっぱり時期尚早だったのかもしれない。

 俺の頭の中で描いていたプランとはタイミングが違いすぎたしな。
 本来ならば、月で大乱交をするつもりだったのだが……まあいかんせん、イレギュラーがあった。
 俺の嫁こと小竜姫様がメドーサにちょっかいかけられて命落としたとかゆー事態になったら、例え文珠で蘇らせても永遠に背負い込むトラウマになりかねな かったし。

 ふーむ、今回の記憶は消去して一旦メドーサを泳がすか。
 ただそのまま放置するのはあまりにも芸がない。
 紐をつけておくかな……。

 再び我が親友、触手君の出番だった。

「……ッ!」

 メドーサの体がびくんと跳ねる。
 咄嗟にメドーサの額に手を当て、霊波を流し込む。
 あとちょっとで目を覚ましそうだったが、なんとか無理矢理眠らせることに成功した。

 まださっきの二字熟語文珠『触手』の効果は残っている。
 一本になっているとはいえ、相棒は触手になっている。
 真珠やら催淫液やらのオプションは意図的に消去しているが、まだ使っていない特殊オプションだ。

 俺の相棒の亀頭が、パージ(切り離し)された。
 もちろん、すぐに亀頭はにょっきり生え替わる。
 ただ、切り離された亀頭だけが、にょこにょことメドーサの体内の奥深くへと侵入していっている。

 『脱』の文珠を使って、メドーサの拘束から抜け出した。
 そのまま破った服を文珠で再生させて、俺世界を消す。
 俺も服を着て、あといくつか文珠である程度工作してから、メドーサに『忘』の文珠を使う。

 それにしても文珠様々だな。
 こんなに役に立つアイテムが俺の霊能力ってことに天に感謝したい。

 痕跡を全て消してから、メドーサの記憶を操作して、ゆっくり『覚』の文珠を使って、目覚めさせる。

「ハァハァ……よ、ようやく追いつめたぞ、メドーサッ!」

 俺のGパン、Gジャンはボロボロ。
 口の中には、パーティグッズの血糊カプセルを噛んでおり、わざとらしく口元にとろっとした赤い液体がついている。

「くっ……人間のくせにッ……」

 メドーサは刺叉を取り出して、俺を睨みつけてくる。
 先ほどまでの可愛い性格はどこかに消えて、憎悪だけが篭められた瞳を向けている。

 文珠でメドーサに偽の記憶をすり込ませておいたのだ。
 ハーピーと一緒に触手で陵辱した、とか、エロエロな行為をした、とかそういう記憶は消して、その代わり、単行本十冊を超える大迫力のバトルを繰り広げて いたという偽の記憶を与えた。
 今やメドーサにとって俺は、人間のくせに自分と対等以上に張り合える猛者、という認識しかない。
 まあ、わざとファジーにやっている部分もあるので、俺に対する潜在的な恐怖とかはまだ残っているだろうけど。

「食らえッ!」
「甘いッ!」

 ハンズオブグローリーが刺叉で弾かれる。
 もちろん意図してやったものだ。

「死になっ!」

 カウンターで決められた攻撃をサイキックソーサーで弾く。
 駄賃とばかりにメドーサの手元を蹴り上げて、刺叉を落とさせた。

 がら空きになった脇に目掛けて、霊力を篭めた(といっても俺にとっては超微弱な)拳を打ち込む。

「バーニング横島忠夫パーッンチ!」

 流石のメドーサもこれには対応できなかった。
 というか、対応できるかできないかの境目のギリギリのところを狙ってパンチしたんだけれど。
 防御が間に合わず、脇に拳をいれられて吹き飛ぶメドーサ。
 直ぐに受け身を取って立ち上がるが、若干麻痺が残っているはず。

「ぐっ……クソッ!」

 状況不利と見て取ったメドーサは逃げようとする。
 そして俺はそれを追いかけようとするフリをする。
 メドーサは待ってましたと言わんばかりに霊波砲を撃ち、俺も待ってましたと言わんばかりにそれを防御せずに受ける。
 ダメージは皆無だけれど、着弾地点に素早く文珠を挟み、あたかもクリーンヒットしたかのように見せかける。

 地面を転がる俺。
 メドーサは追撃をしかけてこない。
 そのまま逃げてしまった。
 シナリオ通りだ。

「ふー……」

 やれやれだ。
 服に付いた埃を払い、メドーサが逃げていった方向を見る。

 なんかこう、魚の養殖している人の気分てのはこういう感じなんだろうか?
 自分の手元にいない得物が、外でどういう風に影響を受けてくるのか……それを待つ楽しみというヤツか?

 さっきメドーサの中に取り残した触手の一部。
 今頃、子宮と同化している頃だろう。

 アレがあるおかげで、メドーサは俺のことを忘れることはなくなる。
 一定時間を置いて、メドーサの体に反応して、色々と素晴らしい効果を及ぼしてくれるのだ。

 何故か体が火照り、男が欲しくなる……しかし脳裏に浮かぶのは、何故か敵であり、人間のくせにメドーサを単身追いつめた、かっこいい男こと俺の顔。
 体は俺を求めるが、俺とは敵同士。
 障害のある距離であるために、淡い想いはたやすく恋に発展する。
 それでまあ、ジレンマに陥ったりするわけだよ。

 さっき適当に思いついたことだが、中々いい感じじゃないか。
 今後のイベントが実に楽しみになってきた。



 るんるん、と鼻歌を歌いつつ、俺はアジトを後にした。
 さーて、帰ったら美神さんのご機嫌取りだ。
 とりあえず殴られたり、買い物に付き合わされたりするのは覚悟せなな。